くまモンの美味@熊本県全域
10月中旬、九州伝統野菜弾丸ツアーの際、お邪魔した熊本。
関東にいると、九州の食材と言えば熊本産、次は宮崎産がよく聞こえてきます。
九州7県、それぞれに特徴ある農産物(生産物)が多くあるのですが、流通やPRが上手い所が印象に残る。
その印象はそれに値する技術があっての事だと今回の熊本でしみじみ感じました。
以前、Dean&Delucaさんの「南九州フェア」にも登場したご当地野菜「水前寺菜」の生産地を訪れました。
コレ!(沖縄では「はんだま」金沢では「金時草」と呼ばれています)
加温なしの雨除けハウスの中で育ってます。
葉っぱの裏が綺麗な赤紫色。
インドネシア原産の多年草。一株で3年ぐらい収穫する。
伸びた茎を切って収穫します。
ちょっと怖い!と言われてしまったこの野菜。
実は熊本県が誇る伝統野菜。とても美味しいのです。
独特の軽い香り、茹でるとぬめりがあります。
葉の裏側の赤紫色は、ポリフェノールの一種、アントシアニン。
γ-アミノ酪酸(GABA)も多く含まれており、これによっても血圧上昇を抑える効果がある事が分かっているそうです。
最近、外食が多いせいか、血圧が高くなりつつあります。
やたらと水前寺菜が食べたくなるのはそのせいか・・・
美しい紫の葉裏を持つことから茶席の花として愛され、先人たちにより守られてきました。
守り継がれた紫には、厳しい環境を耐え抜く現代人を生き生きと。
また、女性を美しくする効果があります。
女性を美しくする「スーパー美肌野菜」
その訳はたぶんコレ!
ビタミンAが春菊の3倍、ビタミンCもレモンより多いなど栄養価の高い野菜です。
特に老化原因となる活性酸素の除去や、抗がん効果があるポリフェノール(クロロゲン酸)がホウレンソウやキャベツの約50倍含まれ、血圧降下などの作用があるカリウムイオンも豊富です。
ね?食べたくなったでしょう?
怖がらずに食べてね。美味しかよー!
3年たって収穫が終わった株はこんな感じ。
でっかい!一株で50cm以上。
茎を切って出荷している様子がわかりますね。
土壌を肥料で整えて、次は一年生の苗を定植します。
葉物だから窒素を多く欲しがるのだね。
サントリ―九州熊本工場がある御船町(みふね)は水がとても良い地域。
ま、熊本はどこで飲んでも本当に水が美味しい。
阿蘇山の伏流水が蛇口をひねれば出てきます。
御船町では町を挙げて水前寺菜栽培に力を入れています。
今回お邪魔した生産者の山下さんは地元ならではの利用法で健康維持を。
それがコレ!水前寺菜ドリンク。
葉っぱの色が綺麗に出ていますね。
固い茎も、丸ごとゆっくりとお湯で煮出すらしい。
味は付けずにそのまま、焼酎などで割って飲むそうです。
1週間も続けて飲むと血圧がみるみる下がるとおっしゃってました。
しかし、綺麗かー!
でもやっぱりこっちの方が美味しい!
おひたし。山下さんの奥さんが少し甘めのポン酢で味つけ、すりごまをたっぷりかけて下さいました。
先日の横浜発酵研究会でも参加者に召し上がって頂き好評でした。
水前寺菜は年間収穫できます。
おひたしをたくさん作って冷蔵庫に入れておこうかな。と思うぐらい旨い菜っぱだと思います。
そのほかに熊本の伝統野菜と言えば
ビックリなBIGサイズのかぼちゃ、「春日ぼうぶら」
実が若干柔らかいけど、香りが良い美味しいかぼちゃ。
もういっちょ、こちらはご存知の方が多いのでは?「肥後赤ナス」
肥後赤ナスは灰汁少なく、実のキメが細かい。
生でOKと言いますが、やはり生よりは火を通した方が断然旨い!
豊かな熊本の野菜達に囲まれ幸せ!
御船町の高品質水前寺菜は「御船川」というブランド名で販売しています。
普通に「水前寺菜」とした方が印象に残るし、わかりやすいと思うのですが。
「御船」を「みふね」と読める方は熊本人だけでは?
御船町を後に、次は熊本が誇る絶品豆腐「内田安喜商店」
先日のコープ商品開発セミナーに、九州から一人参加された後藤さん。
とても真っ直ぐに「食」を見つめていて。
すぐに意気投合!
聞けばグリーンコープさんにも納めているそう。
福岡時代よく頂いていたお豆腐は後藤さんの豆腐でした。
熊本の大豆にこだわり、熊本の水で、添加物は使わずに高い技術で白い宝石を作り上げる。
豆腐は日配品。作ってから1時間ぐらいが最も美味しいらしい。
それほど繊細な豆腐を溢れるほどの愛情で作り上げる。
大豆を石臼で挽いて作るこだわり抜いた逸品「おぼろ豆腐」
綺麗に整った工場も拝見し、この豆腐にかける情熱も滋味深い味わいも堪能致しました。ありがとうございます。
そしてもう一つ。
こちらもすごい加工品。「こんにゃく」
大正六年創業「鳥丸八十七商店」
長い歴史を感じさせるスバラシイ店舗。鳥丸家は元は鹿児島。
アウェイの熊本で商売する際、身元を立証するお墨付きが西郷隆盛の書状。
そんな伝統ある蒟蒻。ひたすら、なめらかで喉越し良し。
機械化と伝統が上手く融合されていて、清潔な工場には旨い物を作る気品がありました。
蒟蒻ほど味に差がある加工品はないかもしれません。
蒟蒻は触感=味なのかな。日本食はこの名脇役なしではあり得ません。
この蒟蒻、吉野家のとん汁に使われているそう。
ちょっと意外!今度じっくり食べてみよう。
豆腐が「白い宝石」なら、蒟蒻は「黒い宝石」かもしれません。
鳥丸社長、ありがとうございました。
水前寺菜も、内田安喜商店のお豆腐も、鳥丸八十七商店の蒟蒻も全て「水」がキーワード。
阿蘇の噴火活動によるカルデラ地層が自然のフィルターとなり、清冽な地下水あふれる熊本。
熊本産が旨い理由は、この「水」と、水が育てた「人」なのですね。
皆様、本当にありがとうございます。
「くまモン」というネーミングには「くまもとの人」という意味もあるそう!
どうりで人気な訳ですね。
鹿児島の伝統野菜「安納芋」@種子島
超大型台風が近づく中、行って参りました鹿児島県「種子島」
「種子島」と一言で言いますが、正式な住所は鹿児島県西之表市、鹿児島県熊毛郡に分かれます。
住所だけ聞くと、どこだかわからない。島だと気付かないですね。
ここは鉄砲伝来の地。砂鉄が多く採れたから。
島全体を見渡してもどこにでもよくある地方の風景。
南の島というと、のんびりと水牛が荷馬車を引いているイメージがありましたが、ここは飛行場はもちろん、ロケットまで飛んでいる。
種子島宇宙センターは世界一美しい宇宙センターだそうです。
地元の方の自慢です。
この日は曇りで日帰りの強行軍。世界一の美しさに出会えず残念。
また、次回の楽しみにしておきます。
さて今回の目的はこれからがシーズンのみんな大好き「安納芋」
ちょうど収穫している畑にお邪魔しました。
今年は良い出来。この畑は優品が多いなー。
安納芋は中が黄色でとろ~りトロケル甘いさつま芋。
この柔らかい食感が人気の秘密。
ゆっくりと焼き芋にすると皮を突き破って蜜が流れ出します。
今は九州はもちろん東北まで作っている品種ですが、ここ種子島が「元祖」です。
やはりこの土地の安納芋が本物で、他地域のものとは雲泥の差。
香り、触感、甘み、成分が違います。
種子島の大地がこの芋を育てるから「安納芋」と呼べるのかもしれません。
元祖には元祖の理由がありますから。
最近は種子島産の安納芋を「島安納」というブランドにしようとJAさんが頑張っていますね。
形はこんな感じ。丸っこい。虫がかわいい。
どんな芋もそうですが、収穫後、一定の温度と湿度を保ってキュアリング(貯蔵)します。
キュアリングすることで芋のデンプンが糖に変わっていく「糖化」が進み、より甘さが増し保存性も高くなります。
一口食べてガツン!と旨い芋が出来上がるのです。
貯蔵はコンテナごと倉庫にいれたり、このように日陰の軒下に吊るしたり。
美味しくなーれ!と様子を見守ります。
安納芋には兄弟がいます。
私たちが普段良く見るのが「安納紅」皮が赤く中が黄色。
さっぱりした甘さが特徴の「安納黄金」あんのうこがねは皮が白く中が薄いオレンジ。焼くと紅と同じ濃い黄色。
そして、もう1種は「安納紫」皮が白で中が紫。ポリフェノールですね。
この3種はそれぞれの味わいがあり、甘さも違うので食べ比べるととても面白い!
広い畑でこの三種を見分けるには葉っぱを裏返します。
すると、安納紅と安納黄金にははっきりとした特徴が。
これ!右側の葉と茎の付け根に色がついている方が安納紅。皮が赤いほうですね。お隣は皮が白い安納黄金。
では安納紫は?というと、皮が白いのは安納黄金と同じ。
実が黄色か?紫か?の違いです。
安納紫は全体の葉の色がちょっと黒濃いので、見分けがつくそうです。
ま、農家さんは定植するから、自然とわかるのでしょうけど・・・
安納黄金の焼き芋です。フフフ美味しかよー!!
安納芋はゆっくりゆっくり加熱すると、あまーくトロケルような柔らかな食感に。
焼いただけでスイートポテトのようなデザートになります。
何故この芋がこんなにしっとり甘いのだろうと調べた所、他のさつま芋に比べ、ショ糖と果糖が多く含まれている事だそう。
他のさつま芋は麦芽糖が多く、安納芋の糖類に比べるとそんなに甘くない。
そして、このトロケル触感は山芋とオクラなどに含まれる多糖類が多いから。
うーん。すごいなあ。しかも炭水化物、ビタミン、ミネラルをバランスよく含んでいるので、小腹が空いた時にはもってこい!
秋は焼き芋!
丁寧に手作業で選別をした元祖種子島の安納芋はうちのネットショップ「大和のちから」で発売中!
http://shop.gnavi.co.jp/yamatonochikara/sai01
この安納芋は11月東京駅構内と渋谷ヒカリエで開催される農業イベント「食の絆サミット」で鹿児島県の伝統野菜としてご紹介されます。
http://www.shoku-no-kizuna.jp/
他熊本県の「水前寺菜」佐賀県の「菱の実」も。
野菜ジャーナリスト篠原久仁子さんもお墨付きの安納芋。
食欲の秋には天然美容食「安納芋」がおススメです。
伝統の技(農業)@熊本県八代市
9月の九州。
さすがにまだまだ残暑厳しい頃でした。
八代と言えば「塩トマト」の名産地。
海抜0メートルの畑には、自然と海水が沸いてきて・・・
農業にとっては致命傷。
塩基障害が出て、作物がスクスクと成長できない。
普通ならあきらめてしまう畑なのですが、そこを逆手にとって研究の末、トマトを育てた方々がおられます。
そしてできたトマトは過酷な状況で育っているので、自身の旨みが濃くなっていて・・・
トマトがみずから濃い旨みを蓄えた、海の香りがするトマトが「塩トマト」
長い年月をかけ、今ではメジャーになっています。
塩トマトは毎年12月~うちのネットショップ「大和のちから」でも販売しております。もう少しお待ち下さいませ!
http://shop.gnavi.co.jp/yamatonochikara/
そんなブランド農産物光る八代市に、もう一つとっておきの農産物があると小耳に挟み、行って参りました。
八代のセレブな吉野梨「新高」にいたか。
ちょうど今年の収穫がスタートしたばかり。
生産者の古閑さん。
整頓された果樹園に無数の梨が収穫を待っていました。
今年はたくさんできとー。
九州で吉野梨と言えば、荒尾梨と並ぶブランド。
栽培100年の歴史があり、天皇に献上された逸品。
寒暖の差が激しく、土壌も果実の栽培に適した地域。
マンゴーなどに比べると派手さがないフルーツですが、ベーシックなものほど美味しいものを食べたい意向が強く。
だから人気です。
カリウム、アスパラギンなどのミネラルも豊富!女性に嬉しいですね。
タンパク質分解酵素のプロテアーゼも豊富に含みますので、お肉を召し上がった後の梨は消化吸収の助けとなってくれます。
ビックリなBIGサイズ。
子供の頭ほどあります。
新高は品種リレーのアンカー的存在。一番遅く収穫できる梨。
高級スーパーではメロンの横で、白い紙に包まれて恭しく並んでいるのを見かけます。お正月を過ぎても貯蔵品を販売しています。
この吉野梨。
今年は玉が大きすぎる傾向があり。
こんな感じ。袋がはち切れてる!
この吉野梨、東京ではあまり見かけません。
どこが出荷先?とお聞きした所、面白い事がわかりました。
アジアではフルーツをよく食べます。
日本はアジアの中でもフルーツ消費量がかなり少なく、しかも年々減っている!
フルーツを食べなくなった日本では生産過剰になり、この吉野梨も一時は生産存続の危機に・・・(いろんな地方でよく聞く話)
そんな時に県や市、地元農協が一丸となり、この梨を台湾に輸出することに成功しましたとの事。スバラシイ!
台湾の方は梨が大好き!
あちらでも栽培できるのですが、この日本の技術と繊細な管理方法で作った梨は別物の風格があるそうです。
日本の農業技術には本当に誇りが持てます。
生産者さん、ありがとうございます。
地元の直売所にあった暖簾。堂々と「吉野梨」
この梨でないとダメ!な方もいるほど。
お客様はありがたい。良い物を作れば良いお客様に巡り合える。
でも、今回の目的は生の梨ではなく。
農協の加工所が吉野梨を使った美味しいドライフルーツを作っているとお聞きして。
それがコレ!
見て下さい!美味しそうに干からびてる(乾燥してる)
ドライフルーツにすると果実は旨みと甘みがギューッと凝縮します。
ドライフルーツ。最近は百貨店などでもよく見かけます。
計り売りは楽しいですね。いろんな色や形があって見た目も綺麗だし。
でも良く見ると、砂糖や着色料、保存料、油で揚げていたり。
いろいろなものが添加されていて・・・
梨もそうですが、果実は外皮に傷が付いたり、少しだけ虫が食べたりしたら販売できません。
そんな規格外と呼ばれる果実の行先は主に、ジャム、ジュース、ドレッシングなどの加工品です。
でも本当に美味しい梨だから「そのままの味」をお届けしたくて・・・
無添加・無着色のドライフルーツ、できました!
むっちりとした噛みごたえ、噛むほどに広がる香りと甘み。
食べた後も口の中に優しい味が残ります。無添加ならでは。
近日、発売予定の美味しい梨。
原材料が良いからこその味。
一緒に販売している柿も最近とても人気物!
こちらももちろん、無添加。手切りで乾かしただけ。
この無添加シリーズのドライフルーツは、小さなお子様にも安心して与えられます。
口に入れると柔らかくなり、その後に甘さなどの旨みが広がっていきます。
さて、10月の九州もまたまた福岡、熊本、鹿児島の産地を駆け巡る予定。
とても楽しみです。
今回この吉野梨をご紹介頂いたのは「肥薩オレンジ鉄道」の赤星さん。
熊本から鹿児島を跨ぐグルメ列車。沿線の特選素材を使用しています。
近いうちに必ず乗車させて頂きますね。
ありがとうございます!!
伝統の技(刀工)@熊本県八代市
15年以上使っている包丁があります。
知人から薦められネットで購入しました。
熊本県八代市の「盛高刃物」
鎌倉時代の永仁頃(1293年)創業。
初めは福岡県太宰府宝満山の僧門の刀工でした。
後に肥後国大名細川三斎公に従い、現在地熊本県八代市宮地町で、九州三大祭に数えられる「妙見宮大祭」で有名な妙見宮修験者の刀工 となり現在26代目。
700年の歴史。
ずっと訪ねたかった。
この包丁、本当によく切れる!研いだら直ぐに切れ味が戻る。
今料理が好きなのは、もしかしたらこの包丁があったからかもしれません。
野菜を切っても、肉を切っても、魚を引いても全て心地よい。
1本でいろんな食材が切れるのです。
西洋包丁のように何種類も必要ない。この1本で全てOK。
使い終わった後は、軽く研ぐのがいつもの習慣。水気を拭かないと錆びます。
だから良いのですが・・・
兄弟で作っています。そしてそれぞれの息子さんが跡継ぎです。
技術の良い刃物屋さんは農業にとって大変貴重です。
これ大鋏の刃を研いでます。
鍬や鎌など、農具はきちんと手入れをすれば作業効率がとても上がります。
仕事をするという事はそんな多くのお陰様を頂いていて・・・
そう。自分一人だけでは決してなく。
窯に入れてます。
そしてとにかく打つ。
一本ずつ手作業でならします。(ゆがみをとる)
鍛冶仕事の隅から隅までご説明頂きました。
誠にありがとうございます。
随所に職人技光る技術を継承してらっしゃる。
この長い年月、受け継ぐ側も半端ないプレッシャーだと思います。
黙々と「物作り」に励んでらっしゃる姿が印象的でした。
視察後、盛高社長さんが八代駅近くの美味しい川魚料理屋さんまで送って下さいました。
また八代に来たら伺わせて下さい。
何時間でも見ていたいそんな現場でした。
ちなみにここの包丁、ネットからの注文は2015年1月以降でないとお届けできない状況です。
自家割り込み鍛接技術は世界中でここだけ。
ヨーロッパの星付シェフ達の間で、この「切れ味」の噂が広まり、今では注文の半分が海外です。
八代の誇るべき宝だと思います。
さて、次回はもう一つの「八代の宝」農業の現場のご紹介です。
今回どうしてもお店で買いたかった包丁はコレ!
名前を掘って下さってます。刺身包丁。
さて、旨い刺身をどなたに召し上がって頂きましょうか。
今は嬉し過ぎて枕元に置いて寝ています。ちょっと怖い?
豊穣の地@福岡県
空が高い!
これは7月の福岡県浮羽市(うきは)
綺麗な山でしょ?耳納連山。
水田の向こうに柿園が広がり、その奥は山です。
ここ浮羽、隣の朝倉は九州でも有数のフルーツの名産地。
甘柿の出荷量日本一、巨峰発祥の地でもあります。
その他、いちぢく、梨、桃、イチゴにメロンにリンゴなどなど。
筑後平野は九州でも有数の米処。
日本酒の製造も盛んです。昔に比べてだいぶ減ってますが。
そんな筑後をグルーッと廻りました。
楽しみにしていたのは有明海に近い大川市のお酢屋さん「庄分酢」さん
杉ダルや甕を使って、無添加の自然発酵のお酢を作っています。
酢作り300年の歴史。
「日本酒」と「純米酢」の原料は全く同じ。
アルコール発酵か?酢酸発酵か?の違いだけ。
とてもワクワク楽しい時間を過ごさせて頂きました。
発酵は温度管理。ココがキーポイント!
温度により日本酒になったり、お酢になったりするのです。
屋外で天候にまかせて管理するのは難しい・・・
でもここではやってます。
庄分酢の高橋社長。
有機純米黒酢の甕を開けて下さいました。
柿渋の紙蓋を開けて出てきたのはコレ!
綺麗な酢酸菌!!!この膜が酢酸菌なのです。
活性しているものを見たのは初めてかも。
無数にある菌の中でも優秀なものを培養しているそう。
優秀な菌はツルっとしていて、綺麗に光っている。
職人さんは「見れば分かる」らしい。
さすが300年の歴史。すごかー!
店構えも歴史を感じさせます。
ここにはかなりおススメ。
2Fではここの美味しいお酢を使ったお料理をフルコースで食べる事ができます。
デートにいいかもネ!
そして、次は真逆の北九州方面へ。
粕屋郡新宮町、森農園さん。
柑橘を中心にりんご、いちぢく、キウイ、ブドウ、すもも、洋ナシ、梅もあります。正にフルーツランド!
まだ青いですね。葉っぱを見て下さい。
勢いが違います。
30種類以上の柑橘を栽培しています。
この地域は山見阪ネーブルという真っ赤なネーブルの生産地。
でも最近は作る人が少なくなっているそう。
柑橘は色が濃い方がよく売れます。だから発売当初は良かったのですが、栽培が難しく、他にも赤くて甘い品種が出たりして、今ではこの地区も数人しか栽培していないそうです。
よく聞く話ですね。柑橘は品種改良がとても盛んです。
売れるものに品種を変えていくご時世。
柑橘は枝を継いで作れますから。
森さんは微生物発酵肥料を使っています。
だからご紹介して頂きました。
エコバイ商品の真骨頂、微生物発酵肥料です。
これはリンゴ。ツガルです。
先月でこの色。すでに収穫終わっている頃ですね。
福岡でリンゴ栽培は難しい。ここでは良くできていました。
キウイ。ゴールドです(中は黄色)
こちらは青。
モシャモシャした毛がかわいいですね。動き出しそう!
そしてこれはサルタンというフランス種のいちぢく。
福岡ですので、ブランドいちぢくの「とよみつひめ」も。
今頃は完熟している時期ですね。
こちらが森さん。
一山、丸ごと森農園の果樹園。
毎年、数回台風が直撃する福岡。
リスクヘッジで一山丸ごと果樹園にしたそうです。
どの方向から来てもどこかが残ってくれる。
農業は天候商売。
リスクがあるのは当たり前で、その対処法を備えた上で経営する。
健全な農業経営です。
そして、森さんは楽しんでる。
柑橘以外のフルーツは「自分が食べたいから」だそう。
しかも趣味?の範囲ではない品質でした。
森さんの果樹園は除草剤を使いません。
草ボーボー。ジャングル状態。
遠目では、どこにみかんがあるのかわかりません。
今の時期はこの草が生育に重要な役割を果たします。
必要がなくなった適期に一斉に刈るそうです。
枝も大きく伸ばします。
ここが一番驚いた部分。
枝を大きく伸ばすと収穫の手間がとても大変なのです。ですので、うちと取引のある柑橘農家さん達は自分の足で立って収穫できるサイズにしか枝を伸ばしません。
「実が付けば、重くしなって下がってくるので収穫に脚立は必要ない」との事。
それに「樹や枝は、ある程度大きくしないと美味しい実がつかない」とまで・・・
う~~~~ん。
農家さんはみんな社長。
それぞれのやり方で自分らしい子供たち(果実達)を成長させます。
目からウロコの栽培法。スゴイなあ。森さん。
ありがとうございます。とても勉強になりました。
それともう一つ、収穫が待ち遠しいのは、コレ!
サクランボみたいに実がついてるでしょ?
これはグレープフルーツです。
日本のグレープフルーツ!
グレープ(ぶどう)みたいに実が付くから「グレープフルーツ」
正にそんな感じ。
国産ですよー!コレ!
あー楽しみ~。ほんに楽しみ!
どんな味、香り、触感なんだろう???
火を入れたらどんな変化があるのだろう???
こんがり焼いて、肉に添えたら美味しいかも・・などと妄想は広がります。笑
ワクワクできる新しい農家さんや、調味料メーカーさんにも会えて、7月の九州も充実の日々でした。
九州にいる貴重な1週間を1秒でも無駄にしたくなくて、いつもパンパンにスケジュールを入れるのですが、9月の九州ではちょっと自分の為に時間を作ってみようと思っています。
たぶんその方が、もっと皆さんに喜んで頂ける仕事ができそうな気が・・・
と言いつつも、いつものように畑を走り回っていたりして。
オンとオフの区別がつきにくい仕事でもあります。
でも楽しいから。それでよか!
スバラシイ生産者とお話するとたくさんの「元気」を頂きます。
いつもありがとうございます。
森農園さんのフルーツは9月14日~15日、福岡のベイサイドプレイスで開催する「フランスレストランウィーク」イベントに登場予定。
http://www.francerestaurantweek.com/kitchencar/
鹿児島黒毛和牛小田畜産の「小田牛」を上柿元勝ムッシュがキッチンカーで美味しくお料理!
その他こだわり食材販売があります。
なんと鹿児島知覧の下窪勲製茶の日本茶も。
うまーか和牛を食べた後の〆は下窪さんのお茶と森さんのフルーツで!
お近くの方はベイサイドプレイスまで是非お越し下さいませ!
七夕そうめん@長崎県島原
今日は七夕。そして「そうめんの日」
本格的な夏を迎える前の梅雨の時期。久しぶりに長崎を訪れました。
知人から紹介頂いた、「手延十六雑穀麺」の生産メーカーさん訪問です。
この長崎島原は日本三大手延べそうめん生産地。
三大とは播州、三輪、そしてここ島原です。
今回は「長崎県手延素麺製粉協同組合」の理事長さん本多さんの工場を訪ねました。
元々は製粉所。だから「製粉」なのです。
小さな工場が集まった組合。
それぞれの組合員さんが独自のブランドを持っていたりします。
1550年、長崎平戸にポルトガルより「フランシスコザビエル」がカトリック布教のため上陸し平戸が開港、その頃から長崎は南蛮貿易が盛んな地域となります。
長崎のいたる所にある「教会」が熱心な布教活動を物語りますし、「食」をみてもカステラやちゃんぽんなど異文化の影響が多く見られます。
素麺の歴史には諸説ありますが、中国と日本を往来する禅僧により「索麺」(サクメン)麺としての技術が入った素麺の原型と言われています。
麦をどのように美味しく食べて頂くか?
素麺とは「小麦」を美味しく食べるものなのです。
作りたての素麺。
綺麗ですよ。正に「天の川」の流れの様。
風でサワサワとそよいでおります。
カットする前は身長?180cmほど。
衛生的に管理された部屋で、ファンを回し温度と湿度を一定に保ちながら生麺を乾麺に変えます。
ここは本多さん親子三人で経営する工場です。家族経営。
動きが多い部分は息子さん担当。
乾燥が済んだ長い麺を均一にカットする機械に乗せます。
カットされた先で待ち受ける、お母さん。
一切無駄の無い、職人さんの手さばき。
カットされた素麺は向きを整える機械に入ります。
長年の経験。一目見ただけで曲がっているそうめんを見つけ、外す。
ここが本多さんの麺のクオリティの高さ。
最後の仕上げは、お父さん。
小袋に詰める前の厳しい品質チェック。
島原ではこのような家族経営の工場が、伝統の技術を支えています。
一連の工程を見ていると、素麺が「麦」だという事を実感します。
柔軟性があり、変容する。黄色の色も本来の小麦の色。
原料はシンプル。小麦と塩と水。少量の綿実油のみ。
その日の気温や湿度により、原料を微妙に調整し、安定した品質を「人が管理する」
「粉が香る素麺」を作る本多さんは、フレッシュ感を重んじます。
三年物など寝かせる高級麺は、寝かせないと美味しくならない小麦を使っているだけで、別段高い原料ではないし、技術も必要ないとの事。
品質よりも「売り方・見せ方」なのですね。
これはそうめんの「ふし」これだけを大量に販売するメーカーもあるそう。
今、島原素麺の小麦はオースト、カナダ、USAなど、ほぼ外国産小麦を使っています。
国産小麦よりも外国産の小麦の方が安定していて、味が良いそう。
小麦の場合「旨さ」で言うと外国産になるのでしょうか・・・
日本のパンも外国産。
国産小麦使用のパンや、麺を選んでいるけど、大量消費されている小麦食の王座にはやはり外国産が。
本多さんも、国産小麦の素麺も作り始めていますし、健康ブームの今、雑穀を混ぜた素麺も。
伝統の技術を守りながら新しいチャレンジも始めています。
島原素麺のほとんどは、関西の某そうめんに化けて世に出ています。
卸が大量に島原から買い付け、あちらから発売する。
島原は販売力がなく、関西にはあったという事。
そして、島原には伝統の製造技術が残り、関西には技術の継承が少ない理由でもある。
長い年月がたつと、どちらが良いかわかりますね。
加工品の業界ではお茶も同じ、一袋に同量入っていれば、売る人が好きな名前を付けられる。半量は鹿児島茶の「静岡茶」があり「宇治茶」がある。
そのような加工品の矛盾、そろそろなくなりそうです。
国も青果と同じ産地証明を加工品にも適用始めました。
その時に、この「島原そうめん」はどこまで売れるのかな・・・
静かに伝統の技術を継承する地「島原」
本多さんの素麺は「島原の糸」というブランドで販売されています。
作った人が味になるのが食品。
「食への安心感」が必要な今、島原の素麺も大きな節目を迎えているのかもしれません。
本多さんの温厚な人柄、おかあさんの優しさがこの味。
国産小麦ではないけれど、本多さんの技術で作ったそうめん、旨いです。
ありがとうございます。
最後に七夕が「そうめんの日」のワケ
七夕は中国から伝わった彦星(牽牛)と織姫の星祭り。
竿竹に短冊を飾りつけ、七夕飾りをする。その短冊には「願いごと」を書き成就を祈る。
加え、「そうめん」を糸にみたて「芸事(機織)が上手になるよう」小麦は毒を消すといった言い伝えから「健康を願い」また、年一度の彦星と織姫のデートにあやかって「恋の成就を願い」行事食である「そうめん」を食べた。
よし!今晩は本多さんのそうめんを大量に食べるゾー!
その前に短冊、書かなきゃね。
半島の温かい風@鹿児島県薩摩半島
5月は長い出張です。
まずは鹿児島阿久根へ。
薩摩半島(鹿児島の西側)の北部、熊本寄り。
ここの魚は旨い!と鹿児島県人が言います。
頂いたのは漁協が経営する食事処で「タカエビ御膳」
これだ!
タカエビとは別名「薩摩甘エビ」とも呼ばれる、おいしーいエビ。
刺身にお寿司、エビフライと大好きなおかずになって登場しました。
東京のスーパーで良く見る冷凍のひょろ長いベッチョリとした甘エビとは似て非なるもの。
歯触りは柔らかいのですが、大振りで食感も残り、反りくり返った形もいい。
香りもスッキリ、甘ーくとろけるエビ。
美味し過ぎて10分で食べ尽くしました。
デザートの「きよみ」まで美味しかった。
素材は全て地元のもの。フフフ。これだから地方の魚市場は止められない。
ゆったり、まったりとした鹿児島弁もとっても心地よい。
空は快晴!気持ちよかー。
今日は下窪さんの二番茶の視察。
下窪勲製茶。ここのお茶はスゴイ!
自家製の発酵肥料をタイミング良く畑に漉き込み、お茶が生き生きと育つ事に努力を惜しまず、最後の一滴まで旨いと言わせる日本茶を作り上げる。
二番茶でこの勢い!
ぷっくりと美味しそうな茶葉。
茶葉を「美味しそう」と思えるのはココだけ。
どの畑より葉が厚く、ふわふわで「幸せな新芽」です。
新茶の試飲。
とても良い。
香り、旨み、甘さ、喉越し、後口。
全て良い。
いつもありがとうございます。こんなに美味しいお茶を頂けるなんて・・・
鹿児島で元気をくれる、下窪勲製茶の三代目、健一郎君。
このお茶のように、心がスッキリとした、芯のあるよか男。
鹿児島県南九州市頴娃町(えいちょう)ここの地名です。
えい茶と言う呼び名は、県内では通ってますが、関東には知られていません。
字も難しいし・・・まず何て読むのかわからなかった。
この頴娃町産のえい茶は日本一の出荷量を誇ります。
でも知られていません。
お茶の呼び名はとても不思議。青果では考えられません。
100g中に幾つかの産地が同量ブレンドされていたら、販売する人が好きな産地名を付ける事ができます。
静岡茶と書いているお茶も、中身の半分はこのえい茶だったりするのです。
宇治茶も半分は鹿児島茶だったり、静岡茶だったり。
それでずっと通ってきたのです。
今の厳しい産地証明制度からは外れた逸品。
それをほとんどの方は知りません。
下窪さんのお茶は自家茶園で栽培・収穫し、自社工場で製茶したものだけ。
100%下窪勲茶。まじりっけ一切なし!
作り手が加工するからこそ、きめ細やかな製茶ができる。
畑によって微妙に蒸し時間を変えたり、モミを変えたり。
工場はISOの9000番と2000番を取得しております。
栽培技術も工場規格も全て整った立派な茶業。
畑は健一郎君、製茶は父の数幸さん。
社名は祖父の「勲」をとって、ここの社名は「下窪勲製茶」です。
勲さんの代から東京のうおがし銘茶にも卸しています。
良いお茶には「理由」があります。
良い生産物には必ずストーリーがある。
そのストーリーを、食べ、飲んで下さる方にお伝えするのが私の役目。
それと、畑には「本当」があります。
「本当」を知らずに、想像で農業を語る方の多い昨今。
学ぶべき場所は机の上でも、本でもTVでも、交流会でもなく、畑にあります。
学んだからこそ畑に立てば、より深く理解できる事も多くあります。
畑での先生は農家さん。農家さんが貴重な話を聞かせて下さる。
自分の引き出しの一つ一つに、その言葉を詰め込んで、下窪さんのお茶も大切に販売させて頂いております。
よい物を作って下さるからこそ、成り立つ商売。
一人で完結できる事なんて何一つない。
だから楽しいのです。
農家さんの思いを背負い、その思いが応援してくれて、胸を張って仕事ができる。
何百人もの応援団と一緒に仕事をさせて頂いております。
いつも、いつも、ありがとうございます。感謝です。
鹿児島で、「幸せの白いレンゲ」を見つけました。
子供の頃、姉が王冠を作ってくれて、中央に白いレンゲがあったっけ。
鹿児島に来ると、脳ミソが活性化し、良いアイデアが浮かびます。
みんなが良くなる事。みんなと笑いあえる事が。
前回も今回も、次回も。
訪れる度に未来の自分への種蒔きをしているように思います。
皆様、ありがとうございます。
綺麗な花を咲かせられるように、これからも努力致します。